足が”つる”ほどに…

かっぱ橋歌劇団での「ルクレツィア・ボルジア」が終演しました。

 

ベルカントオペラの代表的な作曲家、ガエターノ・ドニゼッティの”隠れた名作”とも言える作品で主役級テノールを歌わせて頂き、本当に幸せでした。自分にとってやりがいがあり、困難さもありつつ喜びも感じられるレパートリーがまた新たに増えたことをまずは心から嬉しく思います。

 

 

演奏会形式ということもあり、また他の役より舞台にいる時間(眠っていたり、死んでいるシーンなど)が長かったので、たっぷりと作品全体の音楽を堪能することも出来ました。同じベルカント作曲家のロッシーニともベッリーニとも違う、ドニゼッティの個性が存分に感じられる音楽だったように思います。今年度内に同じドニゼッティ作品がまだあと2つ(「ドン・パスクワーレ」「リタ」)あるのでそちらも楽しみたいと思います。

 

 

演奏会形式ながらロールデビューとなったジェンナーロ役ですが、前のブログに詳しく書いたアリアの部分に限らず、最初から最後までテノールにとって難しい音域ばかりが続いて本当に”キツい”ものでした。役柄の描写としても恋と復讐に燃える青年の直情的な場面が多く、美しい旋律の中にも常に強い感情を伴うまさに”イタリア的なテノール役”だと思いました。

 

 

最後の場面ではルクレツィアの毒によって苦しみながら死んでいくのですが、声楽的にも心情的にも本当に苦しくて、断末魔の声を絞り上げるために踏ん張りすぎて足をつってしまいました(苦笑)!例え演奏会形式でも死んだ後はもちろんじっとしているべきなのですが、しばらくは足の激痛に耐えられずに舞台上の椅子に座りながらつった方のふくらはぎを伸ばすような体勢を取らざるをえず、なんともお粗末な(不恰好な)お見苦しい佇まいとなってしまいました。何卒お許し下さい!

 

 

主催のかっぱ橋歌劇団さんのところで今回もまた、新たな作品と新たな重要な役柄をレパートリーに加えることが出来ました。オペラ歌手になりたくてこの道を歩んで来た自分にとっては他に変え難い喜びです。またいつかご縁が頂けますよう願っています、ありがとうございました。そしてたくさんの拍手とブラボーを頂いたお客様(大きなお声の「Bravissimo!」も頂戴しましたよ〜!最上級!!笑)にもまたベルカント作品を聞いてもらえるよう、東京をはじめ日本の様々なカテゴリーでのオペラ全曲上演の機会が増えることを期待しています。

 

 

 

(※写真上:本番カーテンコール。   下:終演後にステージで出演者皆さんと。先に着替えてしまってすみませんでした!笑)