オペラのカバーキャスト

新国立劇場で2月に上演されるオペラのカバーキャストを務めています。

 

2019年に同劇場で上演された歌劇「ドン・パスクワーレ」(ドニゼッティ作曲)の再演が2/4〜10の間に3回予定されています。外国人キャストも来日してこの日曜日から稽古が始まり、エルネスト役のカバーキャストとしてプロダクションに参加させて頂いています。(したがって、全公演が終了するまでの3週間は東京滞在です。)

 

 

前回もカバーキャストを務めたのですが、同じ演出であってもプレイヤーが違うと音楽も演技も変わるので、その違いを楽しみながら後ろに座ってじっくり稽古を見守りたい…と思っていたら!エルネスト役の外国人キャストの来日が予定より延びたため、稽古初日から数日間は彼の代わりにカバーキャストである自分が代役を務めることになりました。

 

 

イタリア人指揮者との音楽稽古にも、外国人キャストとの立ち稽古にももちろん参加することになり、初日から思わぬ緊張とプレッシャーの日々でしたが、昨日で何とかお役目を果たして明日からは本役のテノールにバトンタッチ。少しホッとしつつ、今後も本役の急な体調不良やアクシデントに備えて、カバーキャストとして引き続き”臨戦態勢”で日々を過ごさないといけませんね。

 

 

主役のドン・パスクワーレを演じるのは当代一のイタリア人バス歌手ミケーレ・ペルトゥージさん。まだ60歳手前で低声歌手としては油の乗り切った頃でしょうか、バス歌手のお手本のような発声技術とインテリジェンスに加え、長年世界トップクラスで活躍して来た経験が遊び心や余裕となって歌からも演技からもその魅力がすでに稽古中から溢れています。留学中の2007年ロッシーニオペラフェスティヴァル(伊ペーザロ市)で彼の生の舞台を観たのですが、彼にその事を伝えると、すぐにその時の思い出話をし初めてくれて、その記憶力の凄さにも驚きました。今回のプロダクションの要として若い共演者たちを引っ張って行きながら、「これぞイタリアのオペラブッファ(喜劇)」という最高のドン・パスクワーレをご披露してくれると思いますので、皆様どうぞご鑑賞に新国立劇場へお越し下さいませ!

 

 

 

(写真左:新国立劇場インスタグラムより転載。立ち稽古の楽しいひとコマ。   右上:楽譜とチラシ。   右下:音楽稽古の様子。前列が本役キャスト、後列がカバーキャストの皆さん。練習とは言え、あのペルトゥージの隣で歌える日が来るとは…泣)