故郷のニューイヤーコンサートに向けて ② (訃報 追伸)

25日(土)のコンサートの見どころをご紹介します。今年のメインはロッシーニ!!

 

留学中にロッシーニオペラフェスティヴァルに出演して以来すっかりロッシーニ・フリークになったのですが、さすがに日本ではまだまだロッシーニ作品に接する機会は多くありません。

 

 

そんな中、昨年2013年は歌劇「セヴィリアの理髪師」を3つのプロダクションで8回も上演する機会に恵まれました。アルマヴィーヴァ伯爵のロールデビュー(初役)の年に一気にたくさんの回数を経験できた幸運に感謝しつつ、まずはその「理髪師」からアリアを3つ歌う予定です。

 

・空は微笑み(※オペラ冒頭のアリア。カット無しで歌います。)

・もし私の名前が知りたければ(※ギターの弾き歌いでお届けします。練習しなきゃ!)

・ああ、至高の喜びよ、最高の幸せよ(※大アリアの終結部にあたるロンドから最後まで。)

 

 

続いてロッシーニの歌曲も3曲披露します。37歳で歌劇「ウィリアム・テル」を最後にオペラの筆を折ったロッシーニですが、決して音楽の創作意欲が失われたわけではなく、むしろ歌曲の分野では質量共に大変充実しています。たくさんの秀作・佳作の中から、

 

・「さようなら人生よ」(※”何も言わずに嘆こう Mi lagnero’ tacendo”の詞による「一音だけ」の曲)

・「赤ん坊の歌」(※文字通り、赤ちゃんになりきって歌われるコミカルな曲。)

・「躍り」(※歌曲集「音楽の夜会」より。ロッシーニのテノール用歌曲では最も有名でしょうね。)

 

を歌います。まとめてロッシーニの歌曲をプログラミングしたのは初めてですのでとても楽しみです。歌う前にMCでちょっと解説とか作曲家のエピソードもご紹介してみようと思っています。

 

 

こうしてコンサート本番前にプログラムを明かすこと(ネタバレ)が出来るのもセルフプロデュースならでは。25日まで可能な限りご案内していくのでご興味ある方はどうぞ本番の会場にお越し下さいね!

 

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[訃報 追伸]

本日1月20日、世界的な指揮者C.アッバードさん(伊)が亡くなられたそうです。80才。

 

イタリアの至宝、世界的マエストロ(巨匠)として、ムーティ、メータ、バレンボイム、そして小沢征爾らと共に、カラヤン&バーンスタイン亡き後の世界の音楽界を牽引してきたアッバードが逝去されたことは残念でなりません。

 

スカラ座、ウィーン歌劇場、ベルリン・フィルでそれぞれ音楽監督・芸術監督を歴任したことからも、アッバードがヨーロッパの楽壇のトップ指揮者であったことは間違いありません。なによりもイタリア人らしく、オペラ上演と管弦楽演奏の両方で多大な功績を残したことは、そのどちらかに片寄りがちな指揮者が多い中でアッバードが特別な存在であったことを証明しているように思います。

 

そして、「ロッシーニ・ルネサンス」と呼ばれるロッシーニ作品の復興(再評価)への記念碑的な1971年録音の「理髪師」(C.アッバード指揮/ロンドン響/プライ、アルヴァ、ベルガンサ他出演/ドイツ・グラモフォン)こそ、A.ゼッダの改定版楽譜による初めての本格的な商業録音として世界に認知され、ここから現在に至るロッシーニ・ルネサンスの道のりがスタートしているという意味でも、アッバードの存在はロッシーニをよくする人々にとって特別な指揮者なのです。

 

1984年のロッシーニ・オペラフェスティヴァルでの「ランスへの旅」復活上演もアッバードの指揮でした。2007年に同音楽祭で自分が歌った時もその録音を何度も聴いてロッシーニの音楽スタイルを勉強しました。いつかまた歌う機会にはまたアッバードの演奏を聴きなが勉強したいと思います。(もしかしたら来年……乞うご期待!)

 

偉大なイタリア人指揮者に合掌を。ロッシーニを再び表舞台に呼び戻してくれてありがとうございました。

 

(※写真は上記ご紹介のCD「セヴィリアの理髪師」。ロッシーニ再評価の決定的な第一歩でした。)