最後の練習場での稽古→明日から劇場へ(オケ合わせ)

長いようであっという間に、新百合丘の練習場での全ての稽古が終了しました。

明日からは新国立劇場に場所を移して、オケ合わせ(※オーケストラとの音楽稽古)→舞台稽古→ゲネプロ、そして本番という流れです。

 

 

写真は今日の通し稽古のワンシーン。至近距離で指揮者(園田隆一郎さん)と演出家(岩田達宗さん)に見てもらうのも今日でお終い、劇場に入ればそれぞれオーケストラピットや会場の客席という遠い距離からチェックしてもらうことになるわけです。

 

 

 

公開前に演出が露見するといけないのでなかなか合唱の皆さん全体をご覧頂くわけにはいかないのですが、今回は約70名の合唱の皆さんにも大注目です(写真には約10名、ざっと7倍の人数が「見切れて」ます!!)。

 

『夢遊病の女』では合唱の出番が大変多く、同時代の他の作品と比べても特別その比重が大きいように思います。さらに演出家が岩田さんということで、いかにもこの方らしい個性的な合唱の見せ場を要所要所に盛り込んでいるため、合唱がらみの稽古は普通のオペラより質も量も充実していたように思います。

 

 

それにしても、合唱の皆さんおひとりおひとりの演技の達者ぶりと言ったら……!!

 

 

自分もスカラ座でコーラスの一員だった経験があるのですが、ともすれば「その他大勢の村人たち」として十把一絡げ(じっぱひとからげ)にされる可能性もあるのですが、合唱とはいえオペラのそれはあくまでも「個別の人物の集合体」であるわけで、特に演技面ではそれぞれの個性に即した動きがあるからこそ広がりや奥行きが出るとも言えるでしょう。

 

 

それを承知した上で、的確に、かつ”ファンタジック”に舞台を描くことが出来る演出家と、その要求に対応できる技術を備えた合唱団員が揃ってこそはじめて、端っこの人まで全員が生き生きとした村人たち本来の姿が成立するような気がします。

 

 

 

プロなら当たり前のことなのかもしれませんが、あるシーンで自分がアミーナへしたひどい仕打ちを合唱全員から責められる時、毎回の稽古でどの人の目を見ても一人として漏れなく厳しい眼差しで自分を責めて来られる瞬間に感じる恐怖感、それによって後悔や反省の気持ちが否応なしに胸に湧く必然性は、段取りやマニュアルでは感じ得ない藤原歌劇団の皆さんの「リアルな」演技に対するリアクションそのものです。

 

 

「オペラ=歌とお芝居」をまさしく体現してくれる今回の合唱登場場面の数々。ご来場下さる皆様にはどうぞオペラグラスやミニ双眼鏡をご持参頂いて、個性あふれる村人たちの一人ひとりを舞台の端から端まで追いかけてあげて下さいませ!!(無茶苦茶、楽しいですよ!!)