レポートの最後は、日々の楽しかった生活を振り返ります。
今回約2週間にわたって滞在したのですが、宿泊先はホテルではなく一般のご家庭でのホームステイ!ニューヨークの中心地でリハーサルの稽古場があるマンハッタンから、電車で約1時間半かけて毎日ホームステイ先と往復するのがルーティンとなっていました。ホストファミリーさんのご家族は5人の子供さんを含めた7人暮らしで、そこに4人の大人が住み込んで寝食を共にしたというわけです!普段は自分の部屋だったのをわざわざ綺麗に片付けて我々に提供してくれた子供たち、本当にありがとう!
毎日深夜に帰宅する我々4人のために奥様が手作りの夕御飯を用意してリビングに置いていてくれて、寝ている子供さんたちに気を遣いながら小声で談笑しつつ美味しい手料理を頂くのが、ヘトヘトの私たちにとって日々の最高の癒しの時間となっていました。日によっては早く帰って一緒に食卓を囲む時もあり、ワイン好きのご主人や明るい子供さんたちと色んな話をして楽しみました。奥様は車でみんなをスーパーに連れて行ってくれて、アメリカならではのショッピングを紹介してくれました。皆さん親切で、お互いの時間を尊重してくれて、おかげで4人全員が体調を崩すことなく気持ちの良いホームステイ生活を送ることが出来ました。長い期間本当にお世話になりました、ありがとうございました。
ホームステイ先の街は大都会のマンハッタンとは全く別世界の清潔で落ち着いた雰囲気で、外見から明らかに外国人と分かる私たちが散歩していてもみんなが「Hallo!」と声をかけてくれる、そんな温かい住民の方ばかりでした。どの家にも大きな庭があり、綺麗な芝生が広がったお宅や背丈の高い樹林を備えた立派なお宅も多かったですね。ここに住む人たちの多くは仕事は大都会のマンハッタンまで頑張って通って、家に戻ると豊かな自然に囲まれた穏やかな生活を好むのだそうです。街は海にも面していて、車を運転される奥様に是非海が見たいとリクエストして連れて行ってもらいました。イタリアで見た地中海、故郷の瀬戸内海や三河湾、東京湾から見える太平洋とも違う、初めて見る大西洋に繋がる海を数十分間じーっと眺めることが出来ました。
そう、午前中がオフだった日があって、その日はマンハッタンの南にある「リトル・イタリー」と呼ばれるイタリア人街にも寄りました。英語がなかなか思うように話せないストレスを晴らすかのように、この日のランチでは久しぶりにヘタクソながらも思いっきりイタリア語で店員さんたちとの会話を楽しみました。今から100年くらい前に、イタリアの移民政策により大量のイタリア人がニューヨークに渡り、このリトル・イタリーを拠点に異国の地での新しい生活を始めたその心の拠り所のひとつが、かの「歌劇王 カルーソー(カルーゾ)」のメトロポリタン歌劇場での大活躍だったそうです。イタリア発祥のオペラやオペラ歌手が彼らの誇りでありアイデンティティであり、厳しい貧困や差別の中でも「歌うこと、食べること、愛すること(Cantare, mangiare, e amore!)」をモットーにたくましく生き抜いたニューヨークのイタリア人たちに思いを馳せながら、生ハムやパスタなどの”イタメシ”をニューヨークで楽しみました!
最終回なのにまとまりの無い内容になってしまいましたが、これにて「白狐」NY公演レポートはおしまいです。目的のオペラ上演そのものはもちろん、滞在中の日々の生活や見聞した様々なことの全てが自分にとって大変有意義なものとなりました。あらためて今回の渡米のご縁を頂いたことに感謝して締めくくりたいと思います。お世話になった皆様、ありがとうございました!Thank you very much!
(写真上左:ホームステイを共にした4人。帰国の空港にて。 上右:しばらく海を眺めてるところを後ろから盗撮されました!笑 中央:ホストファミリーの皆さんと! 下左:リトル・イタリーで仁王立ち。 下右:ホームステイした街のスーパーの様子。果物が美味しかったな〜)