リサイタルへの誘(いざない) 〜1/18〜

9/14のリサイタルはモーツァルトの歌曲『クローエに』でスタートです。

 

 

今回のプログラムは、一人の作曲家から「歌曲」と「オペラ アリア」を一つずつ選び、2曲連続で歌いながら合計8人の作曲家の作品(2曲のピアノソロ曲を含む全18曲)をお届けします。休憩を挟んで前後半で合計約2時間の演奏会ですが、一曲ずつの演奏時間は3〜4分くらいのものが多いので沢山の作品をご紹介することが出来ます。(トークもありません。)

 

 

8人の作曲家はおよそ活躍した年代順になっていて、プログラムの最初は”神童”モーツァルト(1756〜1792年)の「リート  Lied (歌曲)」から始まります。

 

 

『クローエに  An Chloe』はモーツァルト31歳の頃に作られていて、かの有名な「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」や歌劇「ドン・ジョヴァンニ」が同じ年に作曲されています。35歳で亡くなったモーツァルトにとっては円熟期とも言える時期に作られていながら、この歌曲は新鮮さと瑞々しさに満ちています。リサイタルの一曲目にふさわしく、美しく優雅で(どこか可愛らしくもあり)、かつ格調高いピアノの前奏の魅力でたちまち聴く人の耳と心を掴んでくれることでしょう。

 

 

クローエは羊飼いの女性の名前(ラヴェル作曲のバレエ曲「ダフニスとクロエ」でも知られるギリシャ神話の登場人物)で、彼女を賛美する恋人により情熱的な甘い愛の言葉が歌われています。決して大仰に表現される所も無く、モーツァルトらしい耳馴染みのよい歌の旋律が心地良い、”小品”の魅力に溢れています。なお今回が初めての歌唱機会となります。

 

 

(歌詞)

君の青く明るい瞳に浮かぶ愛を覗きたくて

僕の胸は高鳴り 燃え上がる

君を抱き寄せ 君のバラ色の頬に口づけする

僕は震えながら 君を腕の中に抱き寄せる

 

可愛い恋人よ 僕は君を抱きしめ

死ぬまで離しはしない

恍惚の目を 薄暗い雲が覆う

そして僕は君のそばで この上なく幸せに

安らかに体を横たえるのだ

 

 

 

(※写真右上:有名なモーツァルトの肖像画。 右下:今回使用している『クローエに』の楽譜。)