追悼 なかにし礼さん

作家、作詞家のなかにし礼さんがご逝去されました。

 

 

昨年3月になかにし礼さんの台本による歌劇「静と義経」(三木稔作曲)に出演した際にご縁を頂きました。稽古場にも何度かいらっしゃってアドバイスや作品にまつわる貴重なお話を頂戴し、また終演後には直接温かい言葉もかけて下さいました。年齢や大病を患われたことを全く感じさせない、いつもエネルギーに溢れたご様子が印象的だったこともあり、訃報にまだ信じられない気持ちでいます。

 

 

オペラでお会いした以前にもベートーヴェンの「第九」の日本語訳上演でなかにしさんの作られた歌詞を歌ったことがあり、その話をご本人にお伝えすると喜ばれて、しばらく会話がはずみました。ご自身の残した作品や言葉のそれぞれに愛情や思い入れがあるご様子がお話の端々から感じられました。また芸能の世界のトップスター達と長年渡り合ってきた方ならではの洗練された口調や佇まいは、オペラの世界の人ともまた違った、何か惹きつけられる魅力を周りに振り撒いて下さっていたように思います。

 

 

なかにし礼さんのオペラ作品に参加出来たことに感謝し、心よりご冥福をお祈り申し上げます。

 

 

(※写真上:2019年3月に上演された「静と義経」(新宿文化センター)の終演後の舞台上での集合写真。 写真下:打ち上げにて、共演者さんたちと。)