通し稽古終了

全曲を止めずに最後まで通す「通し稽古」が終わりました。

 

 

オペラ制作の仕上げの段階で行うこのリハーサルは、全体の流れをみんなで共有することや、歌手それぞれのペース配分を感じるのにとても大切です。直前のゲネプロ(衣装やセットも入れて全て本番通り行う最終リハーサル。)が今回は本番2日前なので、負担の大きな役(今回なら伯爵役やフィガロなど)の歌手は声をセーブして歌うため、この通し稽古が実質最後の本気で歌う機会になったキャストもいるようです。(オーケストラ合わせは本気で歌うことが多いですが、止めながらリハーサルする上に演技もしないので、負担はそれほどでもありません。)

 

 

「セビリャの理髪師」は全2幕。でも1幕だけで1時間半から2時間近くあり、休憩やカーテンコールも含むと全体で3時間半くらい必要です。伯爵の大アリアはその最後から10分くらいに登場するので、今日の通し稽古でスタミナや気持ちの持って生き方、舞台上で休めるポイントなどを確認しました。

 

 

それにしてもこの大アリア、何度やっても本当にギリギリです…

 

 

舞台上のシチュエーションとしても、伯爵が直接歌いかけるバルトロやロジーナはもちろん、全てのキャストと合唱の皆さんが四方から見つめる中で約10分間歌い続けるわけで、そのプレッシャーは相当なものですね。同じ長丁場のシーンでも、例えば舞台に完全に1人の「椿姫」や、周りに大人数がいるものの発狂して自分の世界だけにいる「ルチア」の狂乱の場とは、また違ったプレッシャーのように思います。要は、集中しづらいのです(笑)。

 

 

大アリアを含む上演を何度か経験させてもらいましたが、やはりプロダクションが変わればまた新しい課題も出てくるもの。欧米の歌手のように1つの役を何百回も経験することは出来ませんが、アルマヴィーヴァ伯爵役はこれからも機会があれば何度でも挑戦してみたいと思わせてくれる、自分にとって最高に素晴らしい役です。皆さんに楽しんでもらえるよう頑張ります!

 

(※写真は今日の通し稽古の様子。)