今年の春も「セビリャの理髪師」

昨年の日生劇場に続き、今春は藤原歌劇団公演での「セビリャの理髪師」です。

 

4月29日(土)に新百合ヶ丘のテアトロジーリオで上演される同オペラの立ち稽古が月曜日から始まりました。演出はご存知、松本重隆さん。松本先生の恒例のリハーサル方針で、今回もわずか二日間で全曲(3時間くらいの充分長大なオペラです!)の荒立ち稽古が終了しました(笑)。「じゃあ、明日から通し稽古ね!フフフ…」とは本日の稽古終了時の先生のジョークですが…何にせよ、頭と体がヘトヘトになって帰宅しました。

 

 

ところで、今回使用している楽譜は2015年にピアノヴォーカルスコアが出版された、リコルディ社の最新版。1幕、2幕で別れた2冊ひと組(重いです!)のこの版も、例によってあの”ロッシーニの神様”、アルベルト・ゼッダ先生の批判校正版となっています。そのゼッダ先生ご自身が「ロッシーニルネッサンス」の口火を切ったとも言うべき前回の批判校正版の出版された1969年(ピアノヴォーカルスコアは1973年)から40年以上を経て、またまた再生された「セビリャの理髪師」の楽譜の存在こそが、ロッシーニの不朽の天才を証明しているように感じます。

 

 

亡くなられてなお、私たちロッシーニを愛する歌手達にその影響を強く与えてくれるゼッダ先生のご威光と芸術の遺産の元に、明日からもこの永遠に新鮮さを失わない傑作オペラのリハーサルを重ねていきたいと重います。

 

 

(※写真上:今回使用している最新版の楽譜と、東京の別宅に”安置”してあるロッシーニの肖像。写真下:楽譜の見開きに明記されたA.ゼッダ先生の名前。右はこれまで使用していた、ひとつ前の批判校正版。同じくゼッダ先生によるものですが、僅かではあっても音符や楽譜の指示表記などに差異があります。ゼッダ先生ご自身もまた、研究による新発見や再確認するところがあったからこその再校正版なのでしょうが、それにしても信じられないロッシーニ研究の執念!あらためてその偉大さを思い知らされます。)