ピカソと音楽作品との接点で

愛知芸術文化センターでの「ピカソ展」関連コンサートは色んな発見がありました。

 

天才画家として知られるピカソですが、絵画だけでなく、バレエ作品の衣装や舞台美術を担当して活躍していた時期もあることから、この演奏会では「プルチネッラ」の他にもそうしたピカソが関わった作品として、サティの「パラード(パレード)」やファリャの「三角帽子」が取り上げられました。

 

いずれの作品もちょうど100年前頃に初演されていますが、色褪せるどころか、むしろ新鮮にも感じました。クラシック音楽の世界にいると100年前というのは時代としてはむしろ若い、新しいようにも感じますが、自分が主に扱うイタリアオペラの世界ではほぼその頃で主要作品は出尽くし(プッチーニの遺作「トゥーランドット」(※テノールのアリア”誰も寝てはならぬ”でも有名)が1926年初演)、それ以降に生まれたオペラ作品は、全曲どころかアリアの一曲でさえ残念ながら現代のレパートリーには残っていません。それゆえなかなか自分が演奏する機会がないので、今回は本当に貴重な経験をさせて頂きました。

 

「プルチネッラ」は新古典主義とも言われる作風で、既存のイタリアの古典作品からの旋律をモチーフに、新鋭作曲家ストラヴィンスキー独特の強烈なリズムや複雑な和音が散りばめられた風刺的な音楽でしたが、歌のパートに限れば多くの部分でメロディーが明朗で美しいものでした。(もちろん、自分にとっては声楽的に難易度の高い箇所もありましたが・・・本番はうまくいってホッとしました!)そしてなにより、井崎正浩さんの指揮による名フィルオーケストラの素晴らしい演奏、お二人の歌手(高橋薫子さん、鹿野由之さん)の美声をずっとステージ上で聴きながら楽しめて、あっという間の約40分でした!(※写真は終演後のバックステージで井崎さんとソリストのお二人とパチリ。)

 

 

 

さて、これでいったん本番は中断して、予定では次は6月18日の「セビリアの理髪師」(日生劇場)です。それに伴うリハーサルの関係で4月から東京に長期滞在ということでこの度初めて、東京に部屋を賃貸で用意して臨むことになりましたので、これからプチ引っ越しの準備です!冷蔵庫のサイズからカーテンの色まで、久しぶりに家具を揃えたり色々手続きしたりと、音楽以外で忙しくなりそうです!