”Una voce poco fa…(今の歌声は…)”

忘れ難い記憶を残して、マリーナ・コンパラートさんは18日の本番の翌日に帰国されました。

 

決して大きなサイズの舞台ではないヤマハホールの限られた空間の中で、彼女の演じるロジーナは躍動感に溢れ、恋に胸躍らせ、裏切りに憤怒し、真実に驚愕し、愛の成就に真心からの笑みを浮かべて喜びを歌い上げました。舞台上で隣で一緒に歌っていたのは世界的メッゾソプラノ歌手ではなく、まさに”ロジーナ”でした。

 

正確無比の音程、自由自在のアジリタ、全音域にわたる音色の均質さ、ロジーナの若さや利発さを際立たせる声の瞬発力、そしてイタリア人ならではの美しく明瞭な発音とレガート。どれも疑う余地の無いほど「世界水準」の技量を発揮されていました。

 

またアンコールの「カルメン」と「サムソンとデリラ」では彼女の芸術家としてのもう一方の性格を存分に披露してくれました。いつまでもホールに感動的な時間が漂っていたように思います(エレクトーンの渡辺さんをサポートしていた小倉さんは舞台上で涙してたそうです)。

 

リハーサルでは次々とアイデアを提案(朝岡さんが思わず「あなたはアイデアの噴水だね」と仰ってました!)してくれて、「これぞオペラ歌手だよなぁ…」なんて他人事のように惚れ惚れしながら至福の時を過ごさせて頂きました。

 

 

初めて聴いた渡辺さんの演奏するエレクトーンの素晴らしさに興奮するマリーナ、

大好きな日本食(寿司、刺身、カニみそ、わさびやガリまで…)で盛り上がったマリーナ、

渋谷の「109」で喜々として買い物しつつ、ギャルたちの写真を撮りまくっていたマリーナ、

本番当日に「偏頭痛でベッドから動けない…」と暗い声でホテルの部屋に電話して来たマリーナ、

打ち上げの帰りのタクシーで、歌のテクニックについての質問に本気でヒントをくれたマリーナ…

 

 

コンサートの舞台以外でも本当に魅力溢れる女性でした。須藤さんの言うとおり、「こんな素敵な性格だったら、そりゃみんなまた彼女と一緒に仕事したくなるはずだよね」!

 

 

貴重な機会を与えて下さった朝岡さんに感謝です。共演者もスタッフも、そして彼女の歌を聴いたお客様もきっと、朝岡さんがマリーナ・コンパラートを私たちに紹介してくれたことに心から感謝していることでしょう。何よりその情熱に心打たれた夜でした。ありがとうございました。

 

(※写真は打ち上げにて。)