ロッシーニの『セミラーミデ』に触れて

秋の長期東京滞在は銀座のロッシーニ演奏会に始まり渋谷のロッシーニ協会定演で終了しました。

前日まで『蝶々夫人』のゴロー役を歌っていたので、声のコンディション(しばらく「三枚目」の声で歌っていたので……)が心配でしたが、残響の多いホールにも助けられ、なにより周りの共演者の皆さんの素晴らしい声に、自然とROSSINIに適した良いポジションに引き上げて頂きました。

 

 

毎年テーマに沿って上演される日本ロッシーニ協会の定期演奏会、今年はROSSINIのイタリア時代の集大成とも位置付けられる歌劇『セミラーミデ』よりほぼ全曲。序曲やレチタティーヴォ、その他ほんの一部分を除いて、アリアや重唱は全て歌われました。

 

 

どれも一度聴くだけでROSSINIのそれと分かるほど、完全な様式美と耳に残る旋律美に溢れていて、あらためてイタリア・ベルカントオペラの真髄はここに有り、と確信してしまいましたね。

 

 

ロッシーニ協会の会長の水谷彰良さんが解説して下さったように、ROSSINIにとってもベルカントオペラの歴史にとっても重要な作品にも関わらず、全曲上演すると4時間を超える大曲のためか、世界的にもなかなか上演機会に恵まれない少しかわいそうな作品です。会員を中心とした出演歌手の皆さんも、「こういう機会になんとか紹介できたら」というROSSINIへの愛情と敬意を持って歌われたのではないでしょうか。

 

 

 

それにしても、歌うのが難しいなぁ~……(苦笑)

 

 

 

写真は終了直後のステージ袖でソリスト全員とピアニストの金井紀子先生と。暗がりでシャッター使って撮影してもらったので、目が光っちゃってごめんなさい!!(笑)

 

 

 

 

さて、この一週間で3つの作品(4公演)を時代を逆流しながら演奏していますが、PUCCINI(ロマン派)→ROSSINI(古典派)→と来て、最後はバロック時代の巨匠・ヘンデル HANDELの『メサイア』で終着。

 

「ハレルヤHalleluia」で有名なこの不朽の名作を、名フィルさん、ヘンデル協会合唱団さんと共演させて頂きます。12月2日の公演です、ご興味ございましたら聴いてやって下さいませ。